重婚的内縁関係と遺族厚生年金

【最判H58.4.14】

 遺族給付は共済組合に加入する組合員が死亡した場合に家族の生活を保障する目的で給付されるものである。これにより遺族の生活の安定と福祉の向上を図り、ひいては業務の能率的運営に資することを目的とする社会保障的性格を有する公的給付である。

 とするとイ族の範囲は生活の実態に即し現実的な観点から理解するべきである。

 要するに配偶者についてみれば婚姻の届け出があったか否かではなく社会通念上夫婦としての共同生活を営んでいたかどうかである。

 ただし重婚的内縁関係があった場合は民法が法律婚主義すなわち婚姻の届け出を要求することから、まず法律婚がその実態を失い形骸化し、かつ、その状態が固定化し将来解消の見込みがないかを検討し、それがないのならば事実婚の夫婦としての実態を検討することになります。最後のこれを満たした者に生計維持要件を満たすかを検討します。