統合失調症(初診日)

[問題] 統合失調症で事後重症請求したところ初診日はH21.8.31都認定され保険料納付要件を満たさず請求棄却された。そこで20歳到達前のH16.8.31を初診日として社会保険審査会へ再審査請求した。

 裁決例では日付の記載が空欄となっているのでわかりやすく架空の日付を記載してあります。

[論理] 事後重症請求を行うためには初診日の前日においてその前前月までの間に

①被保険者期間の3分の2以上保険料納付済期間と免除期間がなければならない

②65歳前で直近1年間に保険料未納期間がない

場合でなければならない。

 ただし20歳未満の場合は保険料納付要件は不要となる。

 そこで統合失調症の初期症状がH16.8.31に出ていないかが問題になる。

ここで①統合失調症は17歳~27歳ごろに多く発症し ②初期症状は神経衰弱状態を示し、強迫症状、抑うつ状態、不眠症などを示すことがあるが、妄想知覚・妄想着想といった統合失調症の特徴的な症状は出現しない。それゆえ神経症などと診断されやすい。そして多くは数年この状態が続き統合失調症の特徴的な症状が現れる。

 本件ではこのような統合失調症の特徴を無視して保険者代理人の確定診断を持って初診日とする見解は失当である。

 したがって原処分は取り消しを免れない。

[解説] 初診日は保険料納付要件・障害認定日を決定する重要な役割を有する。

 20歳前の障害では保険料納付要件は問われませんが所得制限が設けられていることには注意していただきたい。

 この裁決例では多くを統合失調症の性格を20歳前の初診日の認定に使っています。