[問題] 再裁定により増額裁定された老齢厚生年金につきその裁定が遅れた期間分に年14,6%の割合で遅延損害金(利息)を加算して支給することを求める。
[論理] まず受給要件を満たせば抽象的な保険給付請求権はその時点で生じるが裁定によってはじめて具体化する。
とするならば裁定以後でなければ遅延損害金は発生しない。
もっとも遅延加算金法を新たに制定して再裁定が行われた場合等に遅延利息ではないが特別加算金を付すことになっている。
以上より遅延利息を付すことはできない。
[解説] 遅延利息が生じるには債務不履行責任(民法415条)が生じる必要がある。
そして債務不履行履行遅滞責任が生じるには
1 債務が履行気に履行が可能なこと
2 履行気を途過したこと
3 履行の遅延が債務者の責に帰すべき事由にもとずくこと
4 履行しないことが違法であること
が必要である。
本件において裁定がされていない段階で履行しないことは何ら違法ではない。
したがって履行遅滞責任は生じていないそれゆえに遅延利息は生じない。