★遺族厚生年金不服申立で老齢年金の受給権が発生しているかどうかが争いになった事例。
[問題] 遺族厚生年金は厚生年金の被保険者または被保険者であった者が
1 被保険者が死亡した時
2 被保険者資格喪失後、被保険者期間中に初診日のある傷病によって初診日から5年以内に死亡した時
3 障害等級の1級または2級の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡した時
4 老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている者が死亡した時
本件では1・2・3の要件を満たさない。
そこで4、老齢厚生年金の受給権者であったかが問題になる。
[論理] 甲は昭和3年4月2日から昭和4年4月1日の生まれであるが(男子)、老齢給付の受給権を取得するには
① 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あること
② 40歳以降の厚年期間が15年以上あること
③ 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が23年以上あること。
が必要である。
甲は旧国籍法4条にいう父母ともにしれないが日本で生まれたものに該当し出生とともに日本国籍を取得したものとなる。
そして甲について海外在住期間は合算対象期間と認めることはできるが、日本在住期間で厚生年金に加入していなかった60歳未満の期間はすべて保険料未納期間である。
この合算対象期間と厚年期間を合算しても受給失格期間を満たさない。
したがって甲は4、老齢厚生年金の受給権者であったとはいえない。