広汎性発達障害(初診日)

[問題提起] 初診日はいつか。

 

[規範定立] ここで初診日とは障害の原因となった障病につき初めて医師または歯科医師の診療を受け

     た日を言う。

      また、初診日については直接その診療に関与した医師または医療機関が作成したもの又は

     それに準ずるような高い証明力を有する資料に基ずいてしなければならない。

 

[あてはめ] 1 受信状況等証明書 傷病名「不登校」

       高一の一学期から人の目が怖くて不登校になった。

       当院心理相談受診→来院した人物は不明、臨床心理士が実施、不登校以外不明

      2 診断書(20歳以後受診)

       幼児期から対人関係とコミュニケーションが苦手

       高校は対人関係で中退し引きこもりに入る

       発病や初診日に関する記載なし

 

     受信状況等証明書の記載は担当が臨床心理士であり、当時の相談内容は保管されておらず、

    これをもって当該傷病にかかる初診日と認めることはできない。

     診断書は20歳到達後のものであるが初診日の記載がなく特定できない。

     なお、医学上の一般的知見から、広汎性発達障害は初診日の取り扱いにおいて先天性の障害

    を理由に20歳前に初診日があったものとみなされる知的障害と異なり多くは20歳前後の時期に

    おいて社会生活上の具体的な障害が発現することからすれば、当該傷病は先天性要因があるに

    しろ初診日に関して知的障害と全く同列に扱うことはできない。

     当該傷病は、具体的な臨床症状あるいは自覚症状が発現し、それが日常生活を営む上で障害

    となりそのために医師あるいは医療機関を受診した時点を持って初診日とするのを相当とする。

 

[結論]  以上より、初診日は20歳前にあるとはいえず、初診日は確定できない。