★不服申立て再審査請求の裁決例を使ってできるだけわかりやすく論理の流れを追ってみました。
[問題提起] ステロイド投与と両側大腿骨頭壊死との間に相当因果関係があるとしてステロイド投与の
原因となった急性胆嚢炎の初診日を初診日とすることはできるか。
[規範定立] 障害の程度を認定するためのより具体的な基準である障害認定基準を
給付の公平を期するための尺度として採用する。
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これによると
「障害」とは疾病または負傷及びこれに起因する疾病を総称したものをいう。
「起因する疾病」とは前の疾病との間に相当因果関係ある疾病をいう。
「相当因果関係」とはある行為からその結果を生じることが社会通念上相当と認められる場合をいう。
「初診日」とは障害の原因となった傷病につきはじめて医師または歯科医師の診療を受けた日をいう。
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とすると障害の原因となった傷病の前に相当因果関係のある傷病があるときは
最初の傷病の初診日が初診日となる。
[あてはめ] 請求人は急性胆嚢炎似て緊急入院しステロイド投与を継続的に受け
数年後当該傷病と診断されている。
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厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルによれば突発性大腿骨頭壊死症は
原因不明の疾患でステロイド薬投与使用によって発生することがあるのは事実だが
現時点では副作用と呼ぶべきかは不明である。
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当該傷病の発生に関する疫学的調査はないがステロイドは相当数
(リウマチ患者だけを見ても数十万人以上)の患者に投与されていることからすれば
当該傷病の1年間の新規発生件数が1000人よりやや多い程度では
社会通念上相当とは言えない。
[結論] したがって急性胆嚢炎の初診日を初診日とすることはできない。