★不服申立て再審査請求の裁決例を使ってできるだけわかりやすく論理の流れを追ってみました。
[問題提起] 障害認定日における請求人の統合失調症による障害について認定することができるか。
[規範定立] 障害の状態は認定すべき時期において直接診断を行った医師ないし医療機関が作成した診断書もしくは客観性のある医証に基づいて作成した診断書またはこれに準ずる証明力の高い資料によって認定されなければならない。
[あてはめ] 本件で提出された資料はA医師作成の診断書のみであるる
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しかしカルテ廃棄後A医師の記憶に基づいて作成されたものである。
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とすると診断書を客観的に判断する資料に基づかず作成されたものといえる。
[結論]したがって本件障害の状態を認定することができる資料がなく障害の状態を認定することができない。
[解説] 医師は業務上診療録に記載することを義務ずけられる。それゆえ診療録に誤りが入り込むことは少なく相対的に証明力が高い証拠とみなされる。
そして診断書が証拠能力(証拠となる資格)を有するのは子の診療録に基づいて作成されるからである。
裏を返せば診断書に疑問があれば診療録に戻って調査することになる。