血友病・C型慢性肝炎(障害等級)

[問題] 請求人が20歳に達した日及び裁定請求日における当該傷病による障害の状態がいずれも国年令別表に掲げる程度に該当しないか。

[論理] 1 保険者は一般的に、障害認定日による認定については同日以後3カ月以内の現象が記載されている診断書、事後重症による請求については裁定請求日以前3カ月以内の現象が記載されている診断書の提出を求めることとして、障害の程度の認定を行うべき日における障害の状態は、上記の各期間内の現症日の障害の状態によって行う。

 したがって各障害の状態はいずれも上記の取り扱いから外れた時期の現症であるからこの取り扱いをそのまま適用すると、特段の事情の存しない限り、これらを本件における障害の程度の認定を行うべき日における障害の状態として認めることはできず、その内容を検討することもないことになる。

 しかし本件については保険者自らが内容を検討判断し程度不該当を理由とする原処分を行い審査請求手続きについてもこの理由を維持しているので各障害の状態を持って20歳に達した日及び裁定請求日ころのものとして扱うものとする。

 2 国年令別表は2級の状態を「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、または日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(15号)が掲げられている。

 そして障害認定基準は給付の公平を期するための尺度としてこれに依拠するのを相当とする。

 血液・造血器疾患による障害によれば自覚症状・高く所見・検査成績・一般状態・治療及び症状の経過等、具体的な日常生活状態等により総合的に認定するものとし、当該傷病の認定日以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって長期にわたる安静を必要とする病状が日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級と認定するものとされている。

 本件における事実を当てはめえば請求人の20歳に達した当時及び裁定請求日当時の状態は2級の状態に達しているものとすることはできない。

[解説] 本件は20歳前障害であることから障害認定日前後3カ月以内の診断書がなく、また事後重症請求するための請求前3カ月以内の診断書もない事例である。

 原則論としては認定日現在の障害の状態を判断することはできないが、保険者がないよう判断に及んでいることからその当否を判断したものである。

 通常裁定請求では障害認定日以後3カ月以内、事後請求は請求日から3か月前の診断書がなければ請求は却下されるのが原則である。

 しかし本件では内容審査に及んでいる。診断書が手に入らないとあきらめず申請してみることも検討して下さい。