両高度感音難聴(障害等級)

[問題] 本件は両高度感音難聴の右耳にかかるものを基準傷病とし幼少時から有していた左耳にかかる者を前発障害とする初めて2級の請求を行ったものである。

 裁定請求時に障害等級1級に該当するか。

[論理] ①障害の状態の認定は障害の状態・程度を認定すべきものとされている時期において、直接それにかかる診断を行った医師ないし医療機関が作成した診断書、もしくは医師ないし医療機関が診断が行われた当時に作成された診療録等の意匠の記載に基づいて作成した診断書、又はこれらに準ずるものと認められる証明力の高い資料によって行われなければならない。

 本件における認定すべき日の障害の状態は提出された診断書によって客観的かつ公正・公平に判断しうるものとするのが相当である。

②次に障害の状態について判断する。 

 国年令別表は障害等級1級2号で「両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの」とする。

 そして具体的基準として障害認定基準が給付の公平を期するための尺度としてこれに依拠するのが相当である。

 本件障害の状態は両耳の聴力レベルが100デシベル以上に該当する。

 したがって障害等級1級に該当する。

[解説] 初めて2級の請求は基準障害に支給要件が整っていれば前発障害と合わせて初めて2級以上になればまとめて請求できる。

 本件では幼少時の左耳の障害と現在の右耳の障害に初めて1級を適用していることから両者を別個の障害ととらえている。

仮に両者の間に相当因果関係を認めて同一の障害としたのならば相当因果関係の立証も必要となる。もっとも20歳前の障害に当たれば保険料納付要件が不要となる。