強迫性障害(障害等級)

[問題] 請求人の強迫性障害をその対象傷病から除外したものは適法かつ妥当であるか。

[論理] 典型的な神経症は自己治癒可能性及び疾病利得が見られる。

 それゆえ神経症にあってはその症状が一見重症なものであっても原則として認定の対象とはならない。ただしその臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものは統合失調症または躁うつ病に準じて取り扱う。

 精神病の病態を示しているものについては精神病についての偏見が強いことからそれを救済するために神経症が用いられた経緯がうかがわれる。

 本件ではうつ病に伴う典型的な臨床症状を示していないものの当該傷病はうつ病との類縁が疑われうつ病治療により症状の改善・軽快が認められ、その経過は数年に及び、生来の知的障害という脆弱性もあって自己治癒可能性は極めて疑わしい。

 したがって当該傷病は対象傷病となるといえる。

[解説] 本問は神経症がいかなる場合に障害年金の対象傷病となるかが争われた事例である。

 国年令別表・厚年令別表第一を文言解釈すれば神経症を対象傷病から外す理由はない。

 神経症には自己治癒可能性・疾病利得があることから限定解釈して対象傷病から外されている。

 あくまで民意を背景とすることから今後異なる解釈がなされる可能性はある。