[問題] 障害認定日における障害の状態が2級に該当しないか。
[論理] 障害の認定は客観的かつ公平・公正に行われなければならない。したがって障害の状態・程度を認定すべきものとされている時期において直接診断を行った医師ないし医療機関が作成した診断書、もしくは医師ないし医療機関が診断が行われた当時に作成された診療録等の客観性のある医証の記載に基づいて作成された診断書、またはこれらに準ずるものと認めることができるような証明力の高い資料によって行われなければならない。
本件において医師は自己の記憶と転院された後の診療録により診断書を作成している。
そうすると障害認定日の障害の状態は障害認定日当時の診療録ではなく医師の記憶にもとずくものであるから障害認定適格資料として採用することはできない。
したがって本件障害の状態を認定することのできる資料が存しないのであるから障害等級2級を認定することはできない。
[解説] 本件は事実の認定に必要な診療録がないことから診断書が提出されても障害の状態を認定することができないとするものである。
たしかに障害等級の認定には診療録にもとずく診断書は確実な判断資料となる。しかしこれ以外でも障害等級を判断する資料はあるが証拠調べ手続きを予定していない裁定請求・不服申立ての段階では使用できない。訴訟で争うしかないであろう。