[問題] 資格喪失が傷病手当金を受けるためには継続して労務不能である必要がある。
では請求人に継続的労務不能要件を満たしているか。
[論理] 診療実日数がわずかであることから労務不能であることには躊躇を感じざるを得ない。たとえ既決期間の全期間に傷病手当金を支給するという判断が誤りであったとしても被保険者の速やかな権利救済であることからすればそれの取り消しを求めることはするべきではない。しかし既決期間の中に労務が可能な期間があっても法令の規定を無視して新たに当該請求期間につき傷病手当金を支給することまで認めなければならないというものではない。
したがって継続的労務不能要件を満たしているとはいうことはできない。
[解説] 資格喪失ご傷病手当金を受けるためには ①資格喪失前一年以上被保険者であったこと ②資格喪失時に傷病手当金を受けていること ③継続的に労務が不能であること の要件が必要である。
本件では③が問題になり、証明が十分になされていないことからこの要件を満たしていないとされた事例である。この場面でも法律要件分類説が取られているといえる。