[問題] うつ病の初診日がいつかが問題となる。
[論理] 本件では不安神経症の後にうつ病と診断されている。
1 社会保険の運用上過去の疾病が治癒したのちふたたび発症した場合は再発として過去の傷病とは別傷病とし、治癒が認められない場合は継続として過去の傷病と同一傷病として取り扱われるが、医学的には治癒していないと認められる場合であっても警戒と再度の悪化との間にいわゆる社会的治癒に相当する一定の期間が認められる場合には再発として扱うのが相当である。
そして社会的治癒と認められるためには相当の期間にわたって当該傷病につき医療(予防医療を除く)を行う必要がなくなり、その間に通常の勤務に服していることが必要である。
本件では社会的治癒を主張する機関も請求人は月1回通院し、3カ月に1回カウンセリングを受け医師から寛解により診療を中断または終了する旨の指示もうけていないことから社会的治癒に相当する機関と認めることはできない。
2 また、不安神経症とうつ病は相当因果関係を有する連続した同一関連傷病とするのが相当である。
とすると不安神経症の初診日をうつ病の初診日とするのが相当である。
[解説] 初診日に厚生年金被保険者であったかどうかで障害厚生年金が出るか否かが決まります。
それゆえ本件では不安神経症の後長い時を経てうつ病となり両者の間に相当因果関係が認められるのか、社会的治癒が認められるのか争われたわけである。