障害年金 乳がん(初診日)

 今回は左乳がんで初診日が問題になった事例について少し考えてみます。

ここで初診日は障害の原因となった傷病につき始めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいう。

 そして障害の原因となった傷病の前にその傷病と相当因果関係があると認められる傷病があるときは最初の傷病の初診日をもって障害の原因となった傷病の初診日となる。

 本件における経過を示すと、まず左乳腺外側下部に小豆大の腫瘤触知、超音波検査、穿刺細胞診を経て乳腺症の診断で加療開始。

 その後乳腺超音波検査で所見上左乳腺に癌を疑う所見が認められた。当初穿刺細胞診では癌細胞陰性であったが、左乳腺の腫瘤に対し組織検査を施行したところ左乳がんの診断を得た。そのため左乳房温存手術施行、しかし残存乳腺内に再度腫瘤を認め癌の診断が確定したため左乳房切断術施行、という流れです。

 ここで争点となっているのは乳腺症のため医師の診療を受けた日が初診日となるかになります。

 おそらくこの時点では厚生年金保険被保険者で、その後国民年金被保険者になっているのでしょう。

 そして乳房の腫瘤が癌細胞に変化したのならば乳腺症のため医師の診療を受けた日が初診日となります。

 裁決例では乳腺症と診断された当初、乳癌初期診断の技術的限界もあって乳癌の可能性もあるが、後に確定診断されるまで待たなければならなかった。とすると、当初からあった腫瘤が癌であったとみることができ、確定診断前ではあるが初診日と認めることができる。

 従って初診日が厚生年金被保険者期間にあったことから障害厚生年金の支給が認められました。