障害年金 慢性腎不全(発病日)

 今回は慢性腎不全で発病日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 ここで昭和61年4月1日前は厚生年金保険では発病日主義がとられていました。発病日主義は客観的な資料で特定することが困難であることから昭和61年4月1日以降初診日主義がとられています。

 傷病の発病時期は自覚的・他覚的に症状が認められたことを言いますが、具体的には医師の診療を受ける前に自覚症状が現れた場合には医師がその自覚症状を認めた場合に限りその日が発病日となり、自覚症状が現れずに医師の診療を受けた場合は初診日が発病日となる。

 そして発病日の証明資料は直接それにかかる診療を行った医師ないし医療機関が作成した診断書もしくは医師ないし医療機関が診療が行われた当時に作成した診療録等の客観性のある医療記録の記載に基づいて作成した診断書またはそれらに準ずるような証明力の高い資料でなければならない。

 本件で初診日認定的確資料はいろいろあるがそれらを総合して考える。

 まず傷病の経過であるが糖尿病から糖尿病性神経症、続いて糖尿病性腎炎、そして透析療法が導入されている。

 とすると糖尿病性腎炎と相当因果関係のある糖尿病の発病日が糖尿病性腎炎の発病人言うことになる。

 しかしこれを証明する客観的資料がないことから認定できない。

 本件ではU病院まで登場しており16回?も転医がなされていることから診療録等が廃棄されているわけです。それ故医証で認定できる最も古い日を発病日として認定したわけです。

 この認定された発病日には厚生年金被保険者ではなかったため障害厚生年金は支給されずに、障害基礎年金のみの支給となりました。