今回は精神遅滞・自閉症で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
ここで障害等級に当たっては認定時期において直接それにかかる診療を行った医師ないし医療機関が作成した診断書もしくは医師ないし医療機関が診療が行われる当時に作成した診療録等の客観性のあるいわゆる医証の記載に基づいて作成した診断書又はこれに準ずるものと認めることができる証明力の高い資料によって行われなければならない。
本件では精神遅滞として出生日を初診日とする20歳前障害であるので20歳児が障害認定日となる。
そして精神遅滞に多いのが20歳児に診療を受けていないことから障害の状態を判断する診断書が提出できないことです。本券もこのケースに当たります。
裁決例では障害認定日の診断書がなくても客観的な資料を合わせ判断することにより障害の状態を判断することができる場合もあり得ないではないとする。
しかし障害認定基準であげる要件を満たせるだけの資料を提出できるのかが問題である。
そこで臨床医学的知見によれば障害者が置かれた日常生活での環境、支援学校教育や就労支援などを含めた様々な教育・養育・社会支援環境によって同じ精神機能障害を持つものでも評価される具体的な障害の状態には常に一定ではなく、又年余にっわたって固定的にのみ推移するとは限らない。
とすると現在の状態から障害認定日の障害の状態を判断することはできない。
それゆえその当時の客観的資料から判断することになるが、障害認定日当時の障害の状態を示す資料はない。
したがって障害認定日の障害の状態を判断することはできませんでした。よって障害基礎年金は支給されませんでした。