今回は慢性腎不全で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
ここで初診日とは初めて医師の診療を受けた日であり、当該傷病の前に相当因果関係のある傷病がある場合は前の傷病の初診日が初診日となる。
本件では糖尿病が原因となっていることから糖尿病の初診日が初診日となる。
相当因果関係が認められているのはちょくせいつの因果関係が証明できないために社会通念を基礎に因果関係を認める点にある。すなわち確率の問題と言うことになる。
糖尿病になれば必ず慢性腎不全になるとは限らない。糖尿病があるにもかかわらず多の原因で慢性腎不全になることも考えられる。この場合は因果関係がないことから糖尿病の初診日は初診日とはならない。
この確率を高めるために医師の専門的判断はある。
裁決例でたまに見かけるのはステロイド投与から大腿骨頭壊死を生じることは証明されている。しかしステロイドを使えば大腿骨頭壊死を生じるのでは治療として成り立たない。全体を表す統計は見たことはないが関節リウマチに使用されている年15万件あまりのうち1000件弱が生じている報告がある。ここだけを見ると0.75パーセントである。
とするとステロイド投与から大腿骨頭壊死を生じることはあるが他の理由から生じていることは否定できないわけである。これを補う必要があるわけである。
本件では糖尿病との相当因果関係が認められているわけであるが安易に相当因果関係が認められるとは考えない方がよいであろう。
本件ではすでに血液透析が導入されていることから障害基礎年金2級が認定されました。