今回は統合失調症で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
障害等級は原則として請求傷病で判断されます。しかし本件では請求傷病以外の影響を加味して判断しています。この事例を一般論として捉えることはできませんが請求方法を誤った場合の救済がなされていると考えることができます。
本件では診断書記載の事実を精神の障害にかかる等級判定ガイドラインの障害等級の目安のあてはめてみると 日常生活能力の判定が3.14,日常生活能力の程度が4で障害等級2級となる。これはあくまでも目安ですべての事情を総合考慮して判断することとなる。
そして病状として抑うつ状態、統合失調症残遺状態があり、同居者があり、労働能力はなく、日常生活も多くの援助が必要とされている。
とすると2級の例示である「残遺状態または病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想、幻覚等の異常体験があるため日常生活が著しい制限を受けるもの」に当たる。
裁定請求で2級認定しなかった理由は日常生活能力の判定・程度の評価には潰瘍性大腸炎の影響が含まれているとされています。
これに対し精神障害の状態は別傷病であっても合併する潰瘍性大腸炎に起因する身体上の諸症状によって精神障害の状態が変容することはよく知られていることとし、統合失調症に起因する状態認識の障害、コミュニケーションの障害によって潰瘍性大腸炎による身体的制約も含めた日常生活に対する能力に著しい障害が認められると判断するのが相当とする。
すなわち請求傷病は統合失調症であるにもかかわらず潰瘍性大腸炎も含めて判断していることとなる。
このような裁決例が出ているとしても安易に考えないようにしていただきたい。
結局障害基礎年金2級が認められました。