今回は脳脊髄液減少症・線維筋痛症で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本件では障害認定日の診断書を提出できず、障害認定日の障害の状態が判断できないのではないかが争点となる。そして肢体の機能の障害が障害の状態をもっとも忠実に表すことから肢体の機能の障害の要件にあてはめる事実を証明できるかを考えなければなりません。
請求人は障害認定日を現症日とする診断書がなくとも障害を判定できる別の証拠資料があれば保険者は柔軟に対応すべきであり、障害の状態が確認できるのならば認定すべきと主張する。
ここで障害の状態は認定すべき時期において直接診断を行った医師ないし医療機関が作成した診断書もしくは医師ないし医療機関が作成した診療録等のいわゆる医証の記載に基づいて作成された診断書、またはこれに準ずる証明力の高い資料でなければならない。
とすると障害認定日における障害の状態について認定対象時期を現症とする診断書が提出されない場合には障害の状態が判断できないとするのもやむを得ないものがある。認定対象時期と異なる診断書で障害の状態を判断することはあくまでも例外としての取り扱いとなる。
本件において提出された資料には障害認定日を現症とするものはないが障害認定日当時、低脊髄液圧症候群の診断でブラッドパッチ療法を受け全体的に改善傾向にあったことは認定できる。しかしこれらの資料では障害認定日当時の上司並びに下肢に関する日常生活動作の障害の程度は判断できない。
したがって請求は棄却されています。