今回は反復性うつ病で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
ポイントは覚醒剤使用の影響を取り除いて判断できるかと言うことになります。
本件での裁定請求日の病状は「うつ病相を反復し不完全寛解で最終労しては転職を繰り返す。抑うつ気分・不安焦燥・意欲低下制止・易怒・記憶力低下・見当識低下など認める」
日常生活能力の判定は2.7 日常生活能力の程度は4で精神の障害にかかる等級判定ガイドラインの障害等級の目安にあてはめると障害等級2級となる。しかし覚醒剤使用での障害年金受給は任意的不支給地涌に当たることから(争いあり)この障害の状態から覚醒剤使用の影響を取り除くことができるかである。
ここで医学的には現在覚醒剤依存兆候を有していないか、あるいは数年以上にわたって覚醒剤依存兆候を持っていたものには高頻度に幻覚妄想状態が認められ、その幻覚妄想状態は統合失調症患者に見られるものに見られるものに酷似したものとされる。
本件において覚醒剤使用時から裁定請求時までは1年4ヶ月しか経過しておらず、現症時の病状または状態像には覚醒剤使用による影響がうかがわれ、これを区別して判別することはできない。
したがって要証事実である裁定請求時の障害の状態は真偽不明となり請求は棄却されました。