今回は統合失調症で相対的不支給事由(国民年金法70条)に該当するかが問題になった事例です。
ここで国民年金法70条で争点となるのは「故意の犯罪行為により障害を生じさせ」に当たるかになります。
本件では請求人14歳時シンナーを吸引して脳波検査をしているが以上は認められなかった。その後シンナーを継続している事実は認められない。そして22歳時に統合失調症で入院している。
医学的観点から見るとシンナーなどの麻酔作用を持ち、その前段階で酩酊状態が現れこの際に幻覚発現作用が現れ精神依存を示すとされ、週1回程度の吸引でも半年程度継続すると吸引しないといられないような精神依存を生じ身体症状としては造血系の障害やしびれ・脱力・筋萎縮などの末梢神経障害、軽度ではあるが脳波異常が半数近くに出現するとされている。
本件診断書によると明らかにシンナー吸引によると認められる症状、兆候は認められず主として統合失調症に起因するものが記載されているとするのが相当である。
とすると診断書の記載事項はシンナー吸引により障害を生じさせたということはできない。
したがって相対的不支給事由には当たらない。