今回はうつ病で障害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本件では主位的に障害認定日請求を、予備的に事後重症請求がなされ事後重症3級が認定されています。
見ておくべき点は障害認定日と事後重症でどの点が3級と等級不該当とを分けているかです。
障害認定日請求を精神の障害にかかる等級判定ガイドラインにあてはめてみると、日常生活能力の判定が2.0、日常生活能力の程度が3で2級または3級となる。現症日の日常生活能力及び労働能力は「身の回りの簡単な家事は可能、就労は困難」足されこの点からは3級と認定されそうである。この当時厚生年金被保険者として継続して働いており十分に収入もある。とすると就労困難とはいえないのではないか。
これに対し事後重症請求を障害等級の目安にあてはめてみると、日常生活能力の判定が2.57,日常生活能力の程度が3で2級または3級となる。現症日の日常生活能力及び労働能力は「日常生活能力・労働能力ともに著しく制限されている」とある。この当時は厚生年金被保険者ではあるが転退職を繰り返し、アルバイトの期間もあり十分な収入は得ていない。
この点が考慮されたのであろうか。確かに障害年金は労働能力が失われた場合の生活保障ではあるが、あまりに形式的な判断である。やはり簡易迅速な手続きで国民の権利を守るという社会保険審査会法の下ではこれが限界なのでしょうか。