今回は反復性うつ病で傷害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本県では傷害等級2級になるかが争点になります。提出された診断書を前提に裁定請求日の障害の状態(事後重症請求であるため)を判断すると3級となる。
通常請求人本人がおかしいと考えることは正しく、また保険者の出す判断も多くが正しい。この対立は診断書が障害の状態を正しく反映していない場合に生じます。
不服申立てでは原則として書面審査ですから修正した診断書を提出することが大きな手段となる。
問題はその診断書が事実認定のための基礎資料として採用されるかです。
ここで障害の程度の認定は必ず裏付けの資料を提出するとします。
これは障害年金を得たいために障害の状態を重く見せかけることを防ぎ、正確な障害の状態を判断するためです。
そして診断書の裏付けの資料はカルテです。
通常同じカルテを基に異なる診断書は書くことはできません(裁量の幅はありますが)。
とすると診断書の記載がカルテに基づいているとなるとカルテ自体が障害の状態を正しく反映していないということになります。
我々に依頼が来てから話しても仕方がないのですが医師には正確な情報を伝えることが必要です。典型的には普段はめちゃくちゃな生活をしていながら診察の時だけ風呂に入り身だしなみを整えていく話をよく聞きます。
医師法では日々の業務をカルテに記載することを義務づけていることからカルテには誤りが入り込みにくいとされています。
本件では修正された診断書はカルテに基づいていないことから事実認定の基礎とはされませんでした。
仮にカルテと診断書が障害の状態を正確に表していないというのであれば審査請求後取消訴訟にいくことを考えるべきでしょう。