70 障害年金 境界知能(初診日)

 今回は境界知能で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 ここで知的障害はおおむねIQ75以内のものをいいますが、この範囲に収まらないものを境界知能といいます。

 障害認定基準では知的障害を知的機能の障害が発達期に現れた場合をいうとし初診日を出生日とする運用がなされています。

 この裁決例では初診日を出生日とせずに原則通り医師の診察を受けた日としています。

 この運用は発達障害と同じです。

 そして発達障害は初診日を知的障害を伴わないものが発達障害の症状により初めて受診した日としています。

 とするとIQ82と境界知能であることから知的障害とは見なさずそこから発生する「他動で落ち着きがない、物覚えが悪い、対人コミュニケーションがうまくいかない」という点を発達障害として判断していることになる。

 すなわち境界知能という傷病名から形式的に判断しているわけではなく、実質的にいかなる認定基準にあてはめるかを判断したものと考えられる。

 それゆえに初診日を厚生年金被保険者期間中に認めている。