今回は脊椎硬膜内膿瘍・脊椎炎で傷害等級が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
本件では裁定請求で両下肢に機能障害を有するものとして傷害等級3級認定されていることから2級に該当するかが争点ということになる。
ここで下肢の障害として捉えた場合2級の障害の状態として「一下肢の用を全く廃したもの」「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」が掲げられている。
しかし診断書記載の事実、関節可動域制限・筋力低下をあてはめてみても2級の例示に当てはまらない。
とすると両下肢の機能が日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」「または日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」が2級に該当することからこれを検討することになる。
また脊柱機能障害として荷重機能障害を検討するべきであろう。
これらが裁決例で全く検討されないのは検査成績の記載がないのか、2級の程度に届かないのかのどちらかであろう。
それゆえに特定疾患医療受給者証を提出した上で歩行が全くできないことを主張している。
しかし審査対象はあくまで処分の適法性・妥当性でありそれを判断する資料は裁定請求時に提出した資料であるのが原則である。
そして証拠調べ手続きが任意とされている不服申立て手続きでは医証またはそれに準ずる資料で事実認定を行う必要がある。
そのため歩行が全くできない事実を主張しただけではたりずそれを裏付ける資料が実用となる。
ただしそれだけでは事実認定の資料としては採用されず裁定請求時に提出した資料を補う筆お湯性が必要と考える。
本件では歩行ができない事実は事実認定の基礎とはされずに請求は棄却された。