遺族年金と障害年金の接点

遺族年金は亡くなられた方の収入により生計を維持していた遺族の生活保障が目的です。

1 遺族基礎年金は子の福祉的意味も加味され18歳未満の子又は20歳未満の障害等級1・2級に該当する子で婚姻していない子を持つ配偶者か子に支給されます。

子は18歳を超えれば生活能力を持つとみられ、または障害等級1・2級に該当する子は20歳から障害基礎年金の支給対象となることから問題ないとされたのである。

2 遺族厚生年金は30歳未満の妻には原則5年のみ支給されます。また30~40歳未満の妻には遺族厚生年金が失権しない限り支給され続けます。40~65歳未満の妻には遺族厚生年金に中高齢寡婦加算がつきます。65歳以上の妻には経過的寡婦加算(昭和31年4月1日以前生まれまで)がつきます。

ちなみに夫は55歳以上で遺族となり60歳まで支給が停止されます。

この違いはあくまで生活力の違いを考慮しているのであろう。すなわち男性ならまず自分で稼いでほしいということ、女性なら一般的には生活力が男性に比べ劣ることから手厚い保障を若ければ少なく年齢が上がればより厚い保障を必要とするということであろう。

3 次に併合請求はどこまで認められるかである。

60代前半の老齢厚生年金を支給されている場合は老齢年金・障害年金・遺族年は選択となる。

65歳からは老齢基礎年金ー老齢厚生年金・老齢基礎年金ー遺族厚生年金・障害基礎年金ー障害厚生年金・障害基礎年金ー老齢厚生年金・障害基礎年金ー遺族厚生年金・遺族基礎年金ー遺族厚生年金の選択となります。

4 では遺族厚生年金の受給要件を検討する。

①被保険者が死亡した時

②保険者であったものが被保険者の資格を喪失した後被保険者であったときに初診日がある傷病により初診日から起算して5年を経過する前に死亡した時

ここまで保険料納付要件必要

③障害等級の1・2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡した時

④老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給資格期間を満たしているものが死亡した時

ここまでは保険料納付要件不要

ここで被保険者でないものが死亡した場合、被保険者期間中に初診日があり5年以上経過しており老齢厚生年金の受給権者でないものであった場合③が使える場合がある。すなわち死亡後でも障害年金の支給申請をすれば通常死亡直前は1・2級に該当するはずである。ただし障害認定日請求できる場合でなければならないのが難しい点である。とすると認定日請求できれば5年遡及できかつ遺族厚生年金が受給できることになる。