1 障害手当金は厚生年金の被保険者または被保険者であったものが障害を負い次の要件に該当するときに支給される。
① 傷病にかかる初診日において被保険者であること
② 初診日から起算して五年を経過する日までの間にその傷病が治っていること
③ 傷病の治った日おいてその傷病により政令の定める程度の障害の状態にあること
④ 保険料納付要件を満たしていること
障害手当金は障害年金が受給できないときに支給されると思われがちであるが初診日より5年以内に治癒の要件がついており必ずしもそうとはいえない。
2 障害年金の受給権者が障害等級に該当しなくなった場合に障害手当金を受給できるか。
ここで障害年金は障害等級に該当しなくなってから3年または65歳に達した日のどちらか遅い時に失権する。これは障害年金が老齢年金を受けるまでに労働能力を失った場合のつなぎの年金だからである。
そして別傷病である年金は3年を経過した場合は障害手当金を受給できる。
通常別傷病が生じた場合には併合改定をして障害年金を受給するものであるがこの場合はそこまでには至らなかった場合である。
3 障害手当金を受給した者が同一傷病で障害年金を受給できるか。
ここで障害手当金の受給要件は治癒していることである。
とすると障害等級に該当するということは治癒していなかったことになる。
そこで障害手当金の支給決定を取り消して障害年金の事後重症の支給決定をすることになる。
ここで注意しなければならないのは障害手当金を返還しなければならないことである。
4 障害手当金を受給した後初めて1・2級を請求した場合障害手当金を返還する必要はあるか。
ここで初めて1・2級は基準障害と前発障害をまとめて判断して1・2級に該当した場合に1・2級の障害年金を支給する方法である。
とすると前発障害た障害手当金は取り消されているわけではない。
したがって障害手当金を返還する必要はない。