高血圧症による障害

高血圧は降圧薬被服用下で最大血圧(収縮期血圧)が140mmHg・最小血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上のものをいう。通常高血圧は無症状であることから単に高血圧のみで障害認定の対象とはならない。これは障害年金が老齢年金が支給されるまでに労働能力が喪失した場合の生活保障であるからである。しかし高血圧症は脳・心臓・腎臓・血管・眼底に合併症をきたす。それゆえに心疾患の障害や腎疾患による障害の認定要領により認定される。もっとも高血圧でも症状を有する者については要件が定められている。

たとえば悪性高血圧症は1級である。医学上では悪性高血圧は①最小血圧が130mmHg以上 ②眼底に乳頭浮腫(KW4群(本態性高血圧症における眼底所見の程度を分類したもの、高血圧網膜症)がある ③急速に進行する腎不全がある ④全身状態が急速に増悪することが必要となる。しかし障害年金では1級で日常生活能力の喪失であるので①は120ミリHg ②はKW3群 ③は放置すれば腎不全に至る状態で認められる。

次に2級では出血白斑を伴う高血圧性網膜症にかかり1年以内の一過性脳虚血性発作、動脈硬化の所見の見られるものである。

次に3級では頭痛・めまい・耳鳴り・手足のしびれなどの自覚症状などがあり1年以上前に一過性脳虚血発作のあったもの、眼底に著名な動脈硬化の所見を認めるものがある。

また、大動脈解離や大動脈瘤を合併した高血圧も3級である。