今回はうつ病で保険料納付要件が問題になった事例について少し考えてみます。
障害年金は労働能力が失われた場合に保険の方式をもって生活を保障しようとするものです。保険は少ないお金を出し合って困ったときに助け合おうとするものです(共助)。それ故払わないものには保証もないと言うことになります。また障害年金の根拠規定の大本は憲法25条生存権規定にあり、税金も投入されていますが、傷病にかかってから保険料を払うことを認めては保険料納付率が下がり制度自体が立ちゆかなくなります。それ故初診日の前日で判断されます。保険料の後納を認めない趣旨です。
もっとも払わないのではなく払えないのならば生存権を保障する意味で免除・納付猶予の制度が用意されています。それにとどまらず保険料納付済期間と免除期間を合算した額が3分の2以上あればよくかなり緩やかになっています。また直近1年要件、すなわち初診日の前々月までの1年間に納付済期間・免除期間以外の期間がなければ認められます。
これだけ要件が緩やかにされていることから何かあれば面倒がらずに手続きを行うことが大切です。
本件では3分の2要件も、直近1年要件も認められませんでした。
本裁決例では保険料納付記録の誤りを主張していますが認められませんでした。
保険料納付要件が問題になった場合には原則として払ったか払わないかで勝負が決まります。細かい点ではいろいろと争える点はありますが本件では何らあら祖手はいませんので別講で考えてみます。
結局本件では保険料納付要件は満たせずに障害年金は支給されませんでした。