今回は化学物質過敏症で障害認定日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。
ここで障害認定日とは初診日から1年6月経過した日またはそれ以内で傷病が治った日(症状固定を含む)のことを言います。
本件では事後重症請求がなされており請求人主張の初診日が認定されなかったために、化学物質過敏症が症状固定の状態か否かが問題になっている。
それ故に初診日がいつか、その上で障害認定日が初診日以降1年6月以内にある場合に症状固定の状態にあるかが問題になる。
ここで初診日に関する証明資料は直接診療に関与した医師または医療機関が作成したもの、またはそれに準づる証明力の高い資料でなければならない。
本件では初診日認定的確資料として診断書・受信状況等証明書・医師の意見書がある。
認定された初診日は診断書作成医の初診日です。初診日記載欄には「本人申立て」とありそれを裏付ける資料が提供されていないからである。現在では任意的認定事由となっておりやや証明方法は緩やかになったといえるのではないでしょうか。
次に受信状況等証明書を提出していますが傷病名が近視性乱視である。最も自覚症状として鼻汁や手足のかゆみも出現していることから化学物質過敏症の可能性もあるとされている。
これに加えて医師の意見書では化学物質過敏症の発現時と推測されるとあることから客観的資料に基ずくものではない。近視性乱視から手足のかゆみは通常表れないことから化学物質過敏症の可能性もあるとされているのであるが、逆に他の傷病から生じる可能性も否定できない。
したがって診断書作成医にかかった日を初診時と認定しました。
とすると障害認定日とされている日は傷病が治った日(症状固定を含む)でなければなりません。
しかし「病状が悪化しており症状が回復しないことに不安を示していた」とあることから傷病が治ったとも、症状固定とも言うことができない。
よって障害認定日未到来と言うことになる。
結局障害年金受給権は発生しませんでした。
この事例では初診1年6月経過後に再請求するべきでしょう。