171 障害年金 網膜色素変性症(初診日)

 今回は網膜色素変性症で初診日が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 ポイントは初診日に厚生年金被保険者か否かでしょう外向性年金が支給されるか否かが異なる点です。本件では20歳前障害か、厚生年金被保険者期間中に初診日があるか問題となるので所得制限までも問題になります。

 ここで初診日に関する証明資料は直接診療に関与した医師または歯科医師が作成したもの、またはそれに準じる証明力の高い資料でなければなりません。

 本件において病歴就労状況等申立書に「網膜色素変性症の原因は小学生頃眉間を強打したことかもしれない」と記載されている。病歴就労状況等申立書は初診日認定的確資料とはならないことから医師による裏付けを必要とする。

 医師の回答書によれば「詳細は明らかではないが10歳児に発病、中学生時診断」と記載されている。これは他院からの診療情報提供書に基づいており他院の診断書は残っていない。

 とすると回答書は診療録に基づいており、診療録は他院からの診療情報提供書に基づいている。

 診療録は日々の業務に基づいて記載することを医師法で強制されていることから相対的に誤りが入り込みにくい仕組みになっている。それ故に診断書に疑問があるときは診療録に戻って確認するわけです。

 当然に診療情報提供書に疑問があれば診療録に戻って確認する必要があります。

 しかし診療録は残っていないことから確認はできません。

 ただし診療情報提供書自体が直接診療に関与した医師の作成したものならば証明資料となる。

 とするとあとは証明力の問題ということになるのでしょう。

 そして病歴就労状況等申立書と内容的に一致していることからここに記載されている日が初診日として認定されたものと思われる。また20歳前障害の場合、20歳前か否かが問題になるのでそれほど厳格には考えなかったのかもしれません。中学生の時の話ですから。