障害年金 統合失調症(保険料納付要件)

 今回は統合失調症で保険料納付要件が問題になった事例について少し考えてみようと思います。

 障害年金は保険等制度で成り立っている以上保険料を納めなければ保険料は支払われません。そして本件では保険料納付要件である3分の2要件も、直近1年要件も満たしていません。

 そこで認定された初診日とは異なる初診日を証明する方法に出ています。

 1つは内科受診した時を受信状況等証明書を提出して初診日として主張しています。しかし傷病名は接触性皮膚炎・皮脂欠乏性皮脂炎で統合失調症の前駆症状とはいえず相当因果関係がないとして認められませんでした。

 もう一つは統合失調症の発病日が20歳前にあることを主張している。

 ここで国民年金法が初診日を基準として障害基礎年金の支給要件を定めているのは国民年金事業を管掌する政府においてここの傷病につき発病日を的確に認定するにたりる資料を有しないことに鑑み、医学的見地から裁定機関の確定判断の客観性を担保するとともに、その確定判断が画一的かつ公平なものとなるように当該傷病につき医師等の診療を受けた日をもって障害基礎年金の支給にかかる規定の適用範囲を画することとしたものと解される。

 とすると医療機関の受診に困難な事情があることを理由に20歳前に初診日を不要とすることは国民年金法の文理に違背し、立法趣旨にも反する。

 従って統合失調症の発病日が20歳前にあることを理由として保険料納付要件を不要とすることはできない。

 よって本件では保険料納付要件を満たすことができず、障害年金受給権は発生しませんでした。